2021年2月15日月曜日

干支4コマ2020完走報告

 というわけで、なんとか「干支4コマ2020」を完結させることができたのだった。
 後半スタートの7話目に書いたが、去年の3月に投稿した前半部から、数えたら270日が経過していたのだった。その270日、コロナ関連はもちろんのこと、私生活においてもあまりにもたくさんのことがあり、そういう意味でねずみ編は非常に感慨深い干支4コマになった。
 270日前の前半部を読み返すと、4コマ漫画の宿命だけど、時事ネタが現在もうすでに古くなっているのを感じる。「宮迫がいない」というのは3月初旬に行なわれた「Rー1ぐらんぷり」の司会について言っているのだが、宮迫がいないテレビはすっかり日常になってしまい、もはやピンと来ない。「東京事へ……」というのは、新型コロナが流行し、ありとあらゆるイベントが中止になるなか、ライブを決行して物議を醸した東京事変のことなのだが、みんなあれだけ怒ったわりに、年末には紅白歌合戦に堂々と東京事変として出場していて、ああありとあらゆることは、渦中にあるときは大ごとだけど、100日くらい過ぎたらどうでもよくなるんだな、としみじみと思った。この「東京事へ……」というフレーズは後半にも引き継がれ、東京オリンピックについて語る際に避けて通れない椎名林檎のことへと話を展開させた。それにしても「しいなりんご」がアナグラムで「ごりんしない」というのは、30年後くらいに都市伝説みたいになってそうなエピソードだな、と思う。後半は終わったばかりの「麒麟がくる」をモチーフにし、これもまた実に瞬間風速的な時事ネタだな、と思う。最後の「三年後――」ももちろん「麒麟がくる」のオマージュである。「干支4コマ2020」なのに越年してしまった今年のグダグダを逆手に取り、もういっそ2024年(辰年)まで時代を進めてしまった。凱旋門とエッフェル塔の写真はフリー素材のものを使用させてもらった。大オチに瀬戸大也を持ってきたのもよかったと思う。我ながら、この混沌とした年の4コマをうまく着地させたと思う。そしてなにより、今年の干支4コマはタイトルデザインがよかった。もうタイトルデザインだけで成功は約束されていた。オリンピックを、これほどゲスな目で見る人間は、僕を除けばあとはトーマス・バッハくらいのものだろう。
 あとそうだ、どうしてもこれだけは言っておかねばならないのだった。12話に収まらなかったので泣く泣くカットしたのだけど、今回の主人公のねずみは、なぜベストみたいなものを着ていたのかと言えば、これはもちろん「ねずみくんのチョッキ」から来ていて、(ねずみだからチョッキを着ているんだな)と読者は自然と受け入れたに違いないが、それについて「え? これですか?」「ねずみだからチョッキを着ているんだろう、って?」「ちがいます」「ジレです」という4コマの構想があった。そのためにねずみはあの恰好をしていたのだ。カジュアルウエアにおける長めのジレって、なんともダサくて、またそのそこはかとない見た目のダサさと、「ジレ」という言葉の間抜けさが、すごくツボなので、「ジレです(笑)」というのは僕の中でかなり満を持したネタだった。しかしながらファルマンに、「あれは実はジレなんだよ」と話したら、「ジレって何?」という答えが返ってきたこともあり、ジレのことを滅法おもしろがっているのは俺だけなのか、と思って途中で止めることにした。これはいい判断だったと思う。なのであれは、ねずみだからチョッキを着ている、という単純な小ネタとして受け入れてくれて構わない。
 「麒麟がくる」が終わり、「青天を衝け」が始まり、僕の干支4コマもようやくねずみから牛へと移行する。とはいえもちろんすぐには始まらない。今年も間違いなく時事はいろいろ混沌とするので、この時点で始められるはずがない。ただし越年はしないつもりだ。ちなみに今年の牛編をもって、トラから始まった干支4コマは、ひと回りということになる。ひと回り! 「ひとりトラしてべっぴんさん」という思いつきから始まったこの企画も、コツコツと続け、12年ということだ。感慨深い。完成したら私家版として1冊にまとめて製本しようと思う。