2020年11月26日木曜日

SEVENTEEN9月号データ報告2020

 cozy ripple名言・流行語大賞とパピロウヌーボが無事に終わり、はーやれやれ、あとはパピ労の日と仲間内十大ニュースだけか、と思っていたのだが、そういえば今年はまだあれをやっていない、と思い出した。SEVENTEEN9月号データ報告である。これも年間行事のひとつなので、当然やっておかないといけない。思い出してよかった。というわけでSEVENTEEN9月号を入手し、今年のデータ特集ページを拝謁する。「うちらのプロフ、24h」と銘打たれ、各部門でいろいろなアンケート結果が提示されている。意気揚々と目を通した。目を通した結果、あれ?と思った。なんか、このデータ特集、あんまりおもしろくないぞ、と。例年のようなわくわく感がない。これまで得られていた満足感が、誌面から伝わってこない。
 かつて僕がSEVENTEENをおもしろく読んでいると、ファルマンがよく横から、「それって十代の子は本当はぜんぜん読んでなくて、おっさんが作って、おっさんが読んでる雑誌なんじゃないの」と言ってきたので、そんなわけあるか! とそのたびに怒鳴り散らしていたのだけど、どうも今回の誌面を読んでいて、この雑誌は編集チームがもしかして代替わりしたのではないか、ということを感じた。たとえば「ミュージックステーション」なんか、それまでの8時スタートから9時スタートになった時点、もといその2年くらい前から、どうも我々の知っている歌番組とは違う文法の番組になったようだ、ということは痛切に感じていて、それはただ単に出演する歌手が自分たちの知らない人たちばかりだ、というレベルの話ではなくて、なんかもう、流れが心地よくないというか、なんだこの軽薄でふわふわした雰囲気は、と苛立ってくるので、とても観ていられなくなってしまったのだけど、SEVENTEENの誌面にも、それとまったく同じものを感じた。これは僕にいわせれば、なにがおもしろいのか、なにがおしゃれなのか、なにがかわいいのか、なんの価値も見出せない、程度の低いことを、さも自分たちは最先端であるかのように装って、クソつまらなくやりやがって、ということになるのだけど、でもそれって、あくまで「僕にいわせれば」であって、「ワシの若い頃はもっと洗練されてて優れていたんじゃ! それが今はすっかり情けなくなってしまって……」であって、それはもう絵に描いたような、見事に時代に取り残された老害の発言だな、と思う。若者が「きちんと」おもしろいものとして受け取っている若者文化を、自分がこんなに「きちんと」まったく理解できなくなると、思っていなかった。こんなにまっすぐな気持ちで、「若者たち待てよ、ちゃんと考えろよ、それ、ぜんぜんおもしろくないだろ! 俺たちの時代のあれのほうが百万倍おもしろいだろ!」と言いたくなるようになるなんて、ぜんぜん想像していなかった。世代ってすごいな、としみじみ思う。去年まで僕はは誌面を愉しむことができたので、それはリトマス試験紙のように、僕が愉しめたということは、同世代(あるいは上の世代)が誌面を作っていて、そしてそれは当のJKたちにはあまり評判がよくなかっただろうと思う。それが今年からは代替わりしたことで、ちゃんとJKたちに訴求する誌面になり、その結果として僕という存在はこの世界からはじき出された。そんなわけで、まるで最近の「ミュージックステーション」を観ているかのように、僕はつまらない気持ちになったのだと思った。
 とりあえず去年まで定点観測で記録している、身体的なデータから。
 今年の体重の平均値は、「48kg」とのこと。3年前が48.8kg、2年前が48.4kg、去年が48.0kg、に対して48kg。ほら、小数点以下に対する言及が一切ないのだ。去年は0だったのにちゃんと「.0」と律儀だったのに、今年はただの「48kg」。ここでまずもう、なんか違う、と思った。
 次に身長。3年前157.9cm、2年前157.7cm、去年157.8センチ。そして今年は、158cm。これもまた小数点以下が省略された。なんと雑なのか。とすると、この大雑把な新人編集者にしてみれば、3年前も2年前も1年前もそして今年も、みんな押し並べて四捨五入して158cmなのだ。それはそうかもしれない、平均値として算出される1ミリの単位に一体なんの意味があるのかという話かもしれない、でもそこにこそこのデータ企画の真髄があるんじゃないのか。この小数点以下を省いてしまったら、このデータはほぼ毎年「158cm」ということになってしまうじゃないか。それじゃあ毎年やる意味がないだろう。
 続いてスリーサイズ。これにはさすがに小数点以下があった。()内に、去年、2年前、3年前の数字を並べる。
 バスト、77cm(77.1、77.7、79.6)。
 ウエスト、61.7cm(61.5、61.4、62.0)。
 最後にヒップ、81.7cm(81.5、80.9、86.7)。
 去年から、JKのスリーサイズには胸小尻大の傾向が見られる、ということを指摘していたが、今年はそれがさらに進んだ形となった。この分だと、この日記をいままさに読んでいる百年後のあなたたちの尻は、どれくらいのサイズになっているのだろう。
 例年ならば次にブラのカップを記すのだが、今年はなんとその設問がなかった。これは今年のこのフィジカルに関するデータが、これまでの「ウチらのボディー白書☆」みたいなテイストではなくて、「ダイエット部門」として、「Q、いまダイエットしてる? A、はい(73.1%)」だの、「Q、一番やせたいパーツは? A、1位:太もも」だの、「Q、ダイエット中によく食べるものは? A、1位:野菜」だのという、本当にクッッッソどうでもいいQ&Aばかりが誌面を占めているからで、なんだか僕はここに、いかにも現代の若者文化的な、SNSの集合愚が形成する、実体のない見せかけのイデアの幻影ばかりを追い求めて、本当の自分自身の形成や追及がまったくできていない、むなしさを感じる。YouTubeでチャンネル登録者がたくさんいるYouTuberが紹介するダイエット動画を見てエクササイズをするとかじゃなく、そんなことよりJKは、ひたすらに若く輝いている自分自身の肉体にだけ目を向けてほしい。SNS上の流行りに影響されてダイエットなんかしないでいい。ひとりひとりのかけがえのない個性を、数万のいいね!なんかに収斂されないでほしい。スマホに時間も思考も奪われず、もっと自分を大切にしてほしい。JKのブラのカップをデータとして記さないというのは、つまりそういうことだと思う。本当に新しい時代と相容れない。ブラのカップ書けよ。こっちは「Tarzan」を読んでるんじゃないんだよ。平均がAカップなのかBカップなのかCカップなのかで、視界のホワイトバランスが変わってくるんだよ。本当にもう。
 そんでもって最後はいつもの流れ、ラブデータである。ラブデータというか、誌面にはいろいろな設問があるけれど、やっぱり大事なのは処女非処女の比率を示す、「Hしたことある?」の問いである。これのデータは5年前からある。5年前が6.3%。4年前が6.1%。3年前が6.6%。2年前が6.3%。去年が6.1%。これをもって去年、僕は結論を出した。JKの非処女率は、要するにだいたい6.3%であると。ところがである。今年の結果を見て驚いた。過去のデータにばかり固執していたため、目の前で繰り広げられる予想外の展開に、応用の利かないガリ勉のように混乱した。というのも、今年のYES回答は、5.1%だったのである。アンケートは5000人にしているというので、1%が50人ということになる。つまり去年までなら処女を捨てていたはずの50人あまりが、今年は捨てられなかったということを意味している。これは如実に、新型コロナウイルスの影響だと思う。新型コロナウイルスが、出会いも、濃厚接触も、JKたちから奪ったのである。奪ったというか、護ったというか、その捉え方は人それぞれだが、こうも明確に数字に表れるものなのか、と感心した。しかしこの話題で思い出されるのは、春頃の緊急事態宣言下、親が仕事で出て行ってしまった家に、ティーンだけが残されて、彼ら彼女らは自由に行き来をし、そうなると当然セックスになって、望まぬ妊娠をしてしまったという相談が増加している、というニュースのことで、そういう話はたしかにあったはずで、だからむしろ今年は数字が増えているのではないかとも思っていたのだが、しかしそれは結局のところ、「初Hしたのは何歳?」の問いの答えは「15.2歳」であり、「やるやつはやる、やらないやつはやらない」といういつものパターンということなのだろう。すなわちJKが5000人いたら、そのうちの250人はセックスを普通にするタイプのJKだということで、比率的に少ない気がしていたが、でも250人もいれば十分だな、とも思った。せいぜいいちどに相手できるのは6人から7人くらい(二次元ドリーム文庫調べ)なので、250人いるんなら万々歳であると思う。
 以上です。これにて今年の報告を終わります。